2014年8月2日土曜日

EVOの4速ミッション、オーバーホール


エンジン不調とセル回した時の異音でレッカーされてきたHさんの4速EVO.

いろいろ点検した結果。。。

まずミッションの分解から。

エンジン不調でなんでミッション分解??と思われそうですが恐らく不調の原因はミッションではないかと・・・

回りが物凄く固かったメインシャフト。
今回の不調とは関係ないですがテーパー部がかなり傷んでます。
クラッチ側のテーパー穴も同じくボロボロでテーパーの役割を果たしておりません。。。

恐らくこれは過去にKEYが破損して空回りしてしまったのかと。

しかもKEY溝部、割れてクラック入ってます。

ベアリングも相当ガタきてます。

メインシャフトのキック側のベアリングもかなりガタガタです。

ここはガタが大きいとメインシャフト自体が右へ左へとかなり動いてしまうので危険です。

ベアリングは交換致します。
メインドライブギアのベアリング圧入部。

この年式はミッションケースとベアリングの間に鉄のレース?が圧入されているのですが。。。

ズレて外に出てしまってます。
そんなこんなでまずはミッション全て分解。

洗浄。
 今回不調の1番の原因だったと思われるメインドライブギアのブッシュを交換。
 メインシャフトも交換。

4速最終ミッションのメインシャフトって独特の形状ですね。。。

シャフト部を計測。
 圧入したブッシュ内径、、、

これだけアンダーだとリーマーだけではきちんと仕上げできません。。。
と言うことでいつものように旋盤にセットして

調整。
調整
切削。

削り過ぎには要注意。
 仕上げはリーマー&ホーニングで。

旋盤で下穴整えてたとはいえリーマーは慎重に慎重に。。。
シャフトに仮組して偏芯ないか点検。
 メインシャフト部、組んでいきます。

3速ギアのスラスト調整。
 3速ギア、シフターフォークの調整不良で当たりがきつかったせいなのかかなり傷んでいます。。。
 カウンターギアのベアリング交換。
 メインドライブギアのベアリングも交換
 ここのベアリングは2種類あるのですがパッと見では区別がつきません。

が、ミッションケースのベアリング圧入部に鉄のレースがある年式と無い年式での違いなのでケース側の圧入穴とベアリング外周の寸法図れば間違えることはありません。

圧入部分が鉄とアルミでは圧入しろが異なるのでベアリング間違えるとキツくて回りが悪くなったり緩くてゴソゴソなったりします。


 ニードルベアリングの場合、新品でも結構ガタガタなのでシャフトが少しでも摩耗してたら交換したいところですが・・・

元々のカウンターシャフト、少し摩耗してます。
こちらアンドリュースの新品。

元々組まれていたカウンターシャフトは少し摩耗してましたが・・・

こちらの新品の方が若干細い・・・。

と言うことでカウンターシャフトは元々のを使用しました。

アンドリュース、メインシャフトもカウンターシャフトも昔より若干細くなった???
カウンターギアのスラスト調整。

どーもピッタリこない感じでしたので・・・
反対側のワッシャーも厚み変えて微調整。
問題あり過ぎのロータリートップ。

これは社外品でしょうか?

まだかなり新しいのですが・・・

シフトの溝が細すぎてローラーがはまらない・・・

元々はローラー部を旋盤で加工して何とか溝にはまる感じで組まれていました。
専用工具も溝にはまらず使えません。。。


しかも溝の位置が・・・

かなり恥ずかしいくらいアナログな点検方法ですが・・・

純正と比べたらかなりズレてます・・・。
とりあえず何とか修正加工しましたが。。。
ニュートラル位置でシフタークラッチのセンター合わせると3速はきつく寄り過ぎてしまってます。

元々この状態でした。
逆に4速ははまりが甘くギア抜けしちゃいそうな感じ。
と言うことで敢えてニュートラルの時のセンター調整を少し4速側にずらしておきました。

いつか他店でこのミッション開けられる時があったとしたら

シフターのセンター調整全然あかんや~ん!!

とか言われて元に戻されたりするんでしょうか。。。

ここの調整はニュートラルの時のセンター合わせだけでは危険です。
写真ではわかりにくいですが。。。

3速
4速

ちょうどよい感じです。
いつも同じこと言ってますがここら辺のオイルシール組みつけは慎重に。。。

コンコン叩いて入れるのはダメです。
ゴリゴリジャリジャリなってたプライマリーのベアリングも交換。

ですが・・・

ここ、貫通穴なんですか・・・?

ベアリング、どこで圧入止めたらいいのでしょうか?
最終の4速ミッションは5速ミッションと同じようにここのベアリング部はメインシャフトに圧入するスペーサーがあるので仮組しながらベアリング位置点検調整。

この年式のメインシャフトには段があってスペーサーの圧入はここまで。って決まってるのでこんな感じでOKかと・・・


クラッチ部もバラしてベアリングとハブ?交換。


メインシャフトの回りが固すぎたせいかキックギアにも影響が。。。

粉砕寸前でした。

こちらも交換致しました。



以上でミッションはかなりスムーズに動くようになりましたがこれで果たしてエンジン不調は直ったのでしょうか?